2019年1月26日土曜日

沼津兵学校創立150周年記念式典「記念講演」





兵学校150周年を記念し
徳川家広氏と樋口雄彦氏が講演
 明治二年(一八六九)に開校した沼津兵学校の設立一五〇周年記念式典が二十日、市民文化センター小ホールで開かれた。記念講演が行われ、約五百人が来場した。
 沼津兵学校は、明治維新によって徳川将軍家が一大名として静岡藩に移ったことが契機となって設立された軍人養成学校。
近代的な教育が行われ、軍事にとどまらない様々な分野で活躍する人材を生んだ。明治四年(一八七一)年の廃藩置県で静岡藩が消滅すると明治政府に移管され、翌年に廃校となった。
 記念講演は、徳川将軍家十八代当主恒孝氏の子で次期当主の家広氏と、兵学校研究の専門家で国立歴史民俗博物館教授の樋口雄彦氏が講師として招かれた。
 家広氏は「沼津兵学校創立150周年に寄せて」と題して講演。
日本の伝統的な社会秩序を激変させた画期的な存在として豊臣秀吉を挙げ、その混乱を鎮めて社会を安定させたのが徳川家康と江戸幕府だったと論じ、
明治維新で不遇な立場に追いやられても反乱を起こさなかった静岡藩や兵学校にも、社会の安定を優先する徳川の気風が受け継がれたと解説した。
 樋口氏は「沼津兵学校から学ぶべきもの」と題して話し、兵学校関係者の書簡や回想などから読み取れる模範思想を挙げた。
 模範として列挙されたのは、反骨精神、進取の気風、地方性への着目など。特に樋口氏は、地方性の思想について、保守的な静岡藩上層部からの妨害を排除するために、
あえて藩中央から離れた沼津の地に兵学校が設置されたという経緯を説明し、地方の弱点を逆手に取る思考法こそ、地方が東京一極集中の現状に対抗する上で重要なヒントになると指摘した。

【沼朝平成31年1月22日(火)号より】







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