2023年4月27日木曜日

中ノ島水族館(天然水族館)今、伊豆三津シーパラザイス 開業当時の燐寸ラベル

 




東街便覧図略 西間門 (東海道の実写絵図に文学作品を加えながら解説した新しい歴史資料)「富嶽資料館蔵」

 

 東海道の実写絵図に文学作品を加えながら解説した新しい歴史資料


原宿の次は今沢、大諏訪、小諏訪、西間門村と続く。その村々では椿林が屋敷森のようになっていた。それは元禄三年(一六九〇)刊行の『延絵図』にも見えているので、少なくとも近世初期以前からのものと考えられる。 図は小諏訪と西閲門の村境付近の街道と考えられ、先方が沼津である。街道の左手先方に「椿明神の社」とある辺りに、詞書に記されている社がある。街道の両側の家々は周囲を椿林に囲まれて華やかである。また、家々が竹垣で囲まれているが、その編み方はそれぞれ独特で美しかった。詞書で、それは奇術であると記している。また、右手前の家の前には目籠(めかご)の上に板を置き、その上に草鞋(わらんじ)を並べて売っている。それは「和らかにしてこたへよきを名物とする」と記している。

左側では、荷物一駄をつけた本馬を曵く馬方が、見事な椿を指して愛(め)でている。中央の駕籠(かご)かきはひとり空(から)籠をかついで家路についている。『駿河記』によると、今沢村の三島明神社を俗に椿明神と称す。此辺椿数多くあるを以て号しけるなり、とある。しかし『延絵図』には見られない。何れが正しいのか今の所わからないが、図の雰囲から考え、西間門の図と判断した。


2023年4月25日火曜日

葛飾北斎 『東海道名所一覧』  横大々判錦絵43・9×58・2㎝文政元年(1818) 陽春特大号(2023年5月号)付録

 




葛飾北斎

『東海道名所一覧』

 横大々判錦絵439×582㎝文政元年(1818)

手前右下に描かれる江戸から、右上に位置する京都まで、東海道上に存在した53の宿駅を一望の下にする壮大なスケールの鳥瞰図。画中には、街道上に設置された宿駅に限らず、周辺に位置する地名のほか、山川名をはじめ各地に存在する名所や著名な神社仏閣などが仔細に描き込まれており、さながら東海道を往来する人々のための旅ガイド的な要素さえ加味された大作となっている。同様の鳥瞰図としては北斎画に先駆けた鍬形蕙斎(くわがたけいさい)による、日本名所の絵、などが既に存在したが、富士山の存在を大胆にデフォルメし、印象的な日の出とともに画面左上に配置したスケール感のある画面構成は天才・北斎の真骨頂といえる。これを描いた北斎の想像力と画力も凄まじいが、その絵を版木に再現できた彫り師の技もまさに超絶技巧の極致といえるだろう。

すみだ北斎美術館蔵