2012年11月23日金曜日

洋時計


家康外交語る世界的貴重品
 大英博物館の調査も紹介

 「家康外交を語る世界的な貴重品」。22日、洋時計の国宝指定を文化庁に要望した久能山東照宮の落合偉洲宮司は、調査報告書で、時計が日欧の歴史物語の"証人"としての価値を持つとアピールした。
 報告書は大英博物館時計部門責任者デビッド・トンプソン氏による調査の様子や時計の技術的解説、希少性を書いた結論などを英文と和訳で紹介した。落合宮司や東照宮の修復を手掛けた小西美術工芸社(東京都)のデビツド・アトキンソン会長兼社長も寄稿している。
 トンプソン氏の調査報告によると、時計は真ちゅうに金メッキを施したぜんまい式卓上型。旅行用皮革ケースも残っていた。内部の部品は、ほぼ原型のまま残り、結論の章では「伝統的なフランドル(ベルギー、オランダ)時計の珍しい生き残り」と表現した。
 日本の美術工芸品に詳しいアトキンソン氏は、西欧の時計が日本で丁重に奇跡的に保存されていたことを重視し、「時計技術の黎明(れいめい)期の1台として、時計史にとって、日本にとっても極めて貴重な宝」と説明している。
 久能山東照宮は、2015年の徳川家康鎮座(没後)400年祭に合わせて、時計の国宝指定を目指す。20日、県庁での記者会見で落合宮司は、時計の価値や内部構造を広く紹介するため、レプリカの製作を検討していることも明らかにした。
《静新平成241123()朝刊》