沼津ふるさと講座
令和元年度 沼津郷土史研究談話会
(略称・沼津史談会) 主 催
『田口卯吉・上田敏』
国登録有形文化財「田口家住宅」
国登録有形文化財「田口家住宅」
の歴史と関りのあった方々
講師:田口家住宅の6代目住人
嘉治 憲夫 (かじ のりお)
昔の小石川、現在の東京都文京区にある西片町は、江戸時代は福山藩主・阿部家の広大な中屋敷だった。
明治5年、その千坪を借りた初代は桜井熊一。2代目の弟・木村熊二は乙骨太郎乙(おっこつたろうおつ) と終生の友だった。そこに幼くして父を亡くした田口卯吉がいて、二人に助けられて沼津兵学校に入学し多くの友を得た。そして沼津から東京に戻った田口は3代目の住人となり、乙骨の甥・上田敏も住むことになった。
4代目は卯吉の長男・田口文太で、輝かしい経歴の一方、卯吉の借金を30年で支払う苦労も背負い込んだ。
5代目は長男の田口親(ちかし)。その後、平成22年4月に国の登録有形文化財となった住宅を守るのは、親の甥に当たる嘉治憲夫氏で、妻・一子さんと共に6代目の役割を引き受けている。
田口家は沼津兵学校との関りでは、地縁としては阿部正弘の福山藩士となって、この地に住み、維新に伴い静岡に移り兵学校で員外教授を務める一方、沼津で国勢調査に挑んだ杉亨二(すぎこうじ)がいる。杉の長女はるの夫手島精一は沼津藩士・田辺家の出身で西片に住み、晩年の杉亨二はここで過ごすことが多くあった。
血縁、学縁としては、乙骨太郎乙の妻・継は医家・杉田家の出身で沼津との縁が深い。一方、上田敏の孫娘・玲子は森鴎外の孫・小堀鴎一郎と結ばれ、鴎外の同郷で兵学校頭取の西周(にしあまね)と間接的に繋がる。
鴎外は統計にも造詣が深く、西周に学んだ杉亨二を始め大隈重信、福沢諭吉などと同様に、統計学の歴史を歩んだ共通性もある。
本日の嘉治憲夫氏のお話しには、沼津兵学校の関係者の深い絆を探るために150年後の今日、初めての情報が数多く含まれており、これからの兵学校研究のために大いに役立つものと思われます。
<以上、解説はすべて主催者>
令和2年(2020年)1月18日(土)13時30分~
沼津市立図書館4階 第3講座室
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