千本首塚(静岡県沼津市千本浜) 天正八年三月、甲州武田勝頼と小田原の北条氏政軍が激突した遺跡。この時、北条方の優秀な軍船に制圧された武田軍は、なすところなく砲撃をうけて塹壕にひそみ、陸戦隊にふみにじられて敗退した。
この首塚に首なし武者の伝説が発生したことは、前述したとおりだが、明治三三年五月の暴風雨で欠崩し、おびただしい頭骨を露出させて村民を驚かせている。
そのため村人は、ここを発掘して頭骨を集め、俵につめて長谷寺にもちこんだ。
しかし間もなく本光寺の角地に塚を築き、石碑をたてて祀ってやった。
昭和二九年におよび、東大の鈴木尚氏によって正式発掘が行なわれると、これが伝承の如く戦国時代の首塚であることが確認され、すっぽりと刀で切り割られた頭骨などで歴史のあとが実証づけられた。(遠藤秀男著「日本の首塚」)
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