近代教育先駆け、明治期担う人材輩出
沼津兵学校「設置150周年」功績知って
有志が記念事業準備
大政奉還後の徳川家が陸軍将校を育成するため1869年から3年間、現在の沼津市内で付属小学校とともに国内の近代教育の先駆けとなった旧沼津兵学校が2019年、設置から150周年を迎える。国内各分野に果たした役割を伝えようと、市内5団体が設立した実行委員会(委員長・四方一彌・元国士舘大教授)が1月の記念事業に向け、準備を進めている。
兵学校は哲学者の西周が初代頭取(校長)を務め、英語やフランス語を必修科目とするなど西洋を模範とした先進的な教育内容と教育制度を実践した。1872年に明治政府に移管されて廃校となったが、学生や教授陣の多くが官僚や教員になり、日本の近代化に大きく貢献した。
実行委は2017年6月に発足した。記念式典の開催、記念誌の発行とともに、兵学校と密接な関わりがある静岡藩立沼津病院(駿東病院)の記念碑建立を目指して活動を続けてきた。
約190㌻の記念誌は県内外の有識者が論考を寄せた。樋口雄彦国立歴史民俗博物館教授による付属小が他県に与えた影響の検証や、漫画家すずき孔さんが執筆した沼津病院の由来を描いた漫画などを盛り込んだ。
太平洋戦争末期の1945年の大空襲で焼失した病院の再評価にも力を注いだ。古地図などを参考に現在の地図上に場所を特定。現在の市立第一小の北側に碑の建立場所を定めた。
実行委事務局長を務める沼津郷土史研究談話会の匂坂信吾会長は「兵学校でどんな人がどんなことを教え、そこで学んだ人がどんな活躍をしたかを改めて県民に認識してもらいたい」と意義を語る。
(東部総局・橋爪充)
〈メモ〉記念式典は2019年1月20日午後1時半から沼津市民文化センターで開かれる。徳川宗家18代当主の徳川恒孝さんが「沼津兵学校創立150周年に寄せて」、国立歴史民俗博物館の樋口雄彦教授が「沼津兵学校から学ぶべきもの」と題してそれぞれ講演する。当日、「沼津兵学校記念誌」を1部1000円で販売する。入場無料、先着500人。問い合わせは沼津郷土史研究談話会<電055(921)1412>へ。
【静新平成30年12月26日(水)夕刊】
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