牧之原の戦国山城 勝間田城
森林環境譲与税で整備
県内初自然と史跡保護両立
森林を保全しながら山城を整備する事業が、牧之原市勝田の県指定史跡「勝間田城」で本格化している。市によると、森林環境譲与税を文化財関連の保護にも活用する取り組みで、県内初という。市教委相良文化財調査事務所の松下善和調査官は「雑不を放置していると山も遺跡も傷めてしまう。自然と歴史の両方を保護する」と意義を語る。
勝間田城は、地域や学校の名前になっている武将の勝間田氏が戦国時代初期に築いたとされる山城。近年の城ブームで訪れる人が増えているものの、雑木が生い茂っていて山城本来の形状が不明瞭になっている。山の手入れをしなければ樹木が堀や土塁を傷めるほか、倒木や土砂崩れの危険性も高まる。
勝間田城の整備は2020年11月に始動。本年度中に国から配分される森林環境譲与税約600万円を投じ、三の曲輪(くるわ)周辺約2千平万㍍の範囲にある木を伐採する。1月下旬に開いた現地見学会では地元住民約30人が参加し、伐採したことで見えてきた城の形状を松下調査官が解説した。
事業期間は25年度までを予定し、総事業費は約3千万円。全額を国の森林環境譲与税で賄う。ほかの市町では森林の整備や木材利用の促進に充てられることが多く、文化財の保護を目的の一つとした事業は全国的にも珍しいという。整備が完了すれば、戦国時代の景色が復活する。松下調査官は「すでに部分的に景観が取り戻されてきた。最終的には戦国武将が見た眺望を味わえるようになる」と話す。(榛原支局・相松孝暢)
【静新令和3年2月26日(金)夕刊】
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