沼津御用邸記念公園 国指定名勝へ市動く
文化庁に意見具申 16年度前半見通す
沼津市は、1893年に造営された沼津御用邸を起源とする沼津御用邸記念公園の名勝指定に向けた作業に入った。既に県を通じて公園の概要を記した意見具申書を文化庁に提出した。同庁の文化審議会の答申が得られれば、県内では1959年の「日本平」以来の国指定名勝となる。
名称は「沼津御用邸苑地(えんち)」。03年に昭和天皇の学間所として建てられた東付属邸や、昭和天皇のかつての御用邸で22年に現在の形になった西付属邸、厩舎(きゅうしゃ)などの建物を含む。散策を楽しむ人が集うなど、御用邸と周辺は沼津を代表する観光、文化スポットとなっている。
指定を日指すのは、石塀で囲まれたエリアを中心にした面積約9・5㌶の園地。クロマツなど約5千本の樹木が植わっている。市は2015年6~11月に同公園の調査を行った。宮内庁資料の写しを基に、御用邸が設置された明治時代から大正時代までの建物配置の変遷などを調べた。
16年度前半の指定を見通し、市は16年度当初予算案に展示リニューアルを検討する費用も盛り込んだ。
同公園は、1969年に旧大蔵省から沼津市に無償貸与された園地と建物を活用して70年に開園した。建物は飲食施設やギャラリーとして利用している。年間来場者数は、西付属邸改修後の1997年度の約29万人がピークで、2014年度は約18万人。
市緑地公園課の担当者は「指定されれば、来園者が少ない夏冬のにぎわい増につながる可能性がある」と期待する。
※ 国指定名勝芸術上、鑑賞上の価値が高いとして国が指定した庭園や海浜、山岳など。特に重要なものは「特別名勝」に指定される。県内には1922年の「三保松原」以後、52年に待別名勝になった「富士山」を含め、10件が指定を受けている。
【静新平成28年2月12日(金)朝刊】
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