2019年10月12日土曜日

伊豆をめぐる名画




伊豆市共同企画展
伊豆をめぐる名画
横山大観、安田靱彦(ゆきひこ)を中心に-
 伊豆という言葉は輝く海、険しい山、温泉、歴史、文学など、さまざまなイメージを思い起こさせます。川端康成は伊豆が「詩の国」、「歴史の縮図」、「南国の模型」、「海山のあらゆる風景の画廊」であると述べて、その魅力を語っています。こうした豊かな伊豆の自然と文化は、多くの日本画家たちをも惹きつけてきました。
 明治41(1908)年、奈良で古画を学ぶ安田靱彦は胸を病んで帰京を余儀なくされます。そのとき、旅館を営む友人の相原沐芳(もくほう)の勧めにより伊豆・修善寺で静養することにしました。静養中に研究を重ねて自らの画風を見出した靱彦は、その後もたびたびこの地を訪ね、画家仲間の今村紫紅(しこう)や小林古径、速水御舟(ぎょしゆう)らも集まるようになりました。
 明治末、横山大観も夫人や自らの療養のため修善寺を訪れ沐芳と交流するようになります。昭和5(1930)年には大観らの渡欧壮行会が修善寺で開かれるなど、その繋がりは長く続きました。
 こうした交流から伊豆は名画が生まれる場所となり、多くの作品が残されることになりました。本展では伊豆市が所蔵する絵画を通じて、伊豆の魅力、そして日本画の魅力をご紹介いたします。


 伊豆・修善寺と相原沐芳(あいはらもくほう)
 沼津に生まれた相原沐芳(1875-1945年)は東京で学業を修めるとともに日本画を学び、安田靱彦や今村紫紅らが結成した紅児会の画家たちと親しくなります。沐芳は後に妻の家業である修善寺・新井旅館を継ぎ、そこに友人である画家たちが集うようになりました。

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