2018年6月8日金曜日

今上天皇の行幸(昭和天皇)の模様



今上天皇の行幸(昭和五年六月一日~四日章)

昭和五年五月二十八日より七日間
聖上陛下には、静岡縣の.民情産業教育其他設般の施設を親しく御視察あらせらる。.
沼津御用邸は二夜(ふたよ)の行在所にあてられ、沼津市第四尋常高等学校は東部縣民奉拝場として御選びにあづかり、加うるに沼津繭市場へ臨御、沼津種畜場へ侍従御差遣の光榮なる御諚を拝す。
我が沼津市民は約一月の間、此のよき日を如何に御待ち申し上げたることか。
御巡幸第五日、六月一日
陛下には早速より西遠地方の御視察を遊ばされ、午後四時半車駕は沼津驛に着御あらせる。
 初夏の日影は麗かに輝き、富岳も一般の秀麗を添へ、天地共に感喜感激に打ちふるふなかを御車は行在所に進ませらる。
 行在所には御休憩もとらせられず、直ちに東部縣民奉拝場たる、第四小学校に進御遊ばさる。富士郡以東一市四郡の特別奉拝者三千人は知事の發聲に唱和して、陛下の御前に、聖壽の萬歳を祈念し奉る。終りて同校御座所に於て、県下東部地方有資格者に拝謁を賜り、森田市長より奏上する沼津市政の檄要を聞し召し給う。
次で陳列場にならせ給ひ、県下に於ける貴重なる發明品、研究物、富士山を中心とせる動植物及富士の模型、県下小學校児童の成績品等を天覧あらせらる。
鹵簿(ろぼ)は尚三園橋より沼津繭市場へ進まる。繭市場に於いては特別の思占を以て組合長に謁を賜り、市場の沿革のあらましを御聴取あり、又専務の御説明を聞し召されつゝ、荷受、大漁取引、値段協定等の勇ましき作業、市場内の諸設備を御一覧遊ばさる。
御車は繭市場より再び沼津驛前に出で、復興せる新市街の模様を御覧遊ばされつゝ行在所に着御遊ばさる。
六月二日、巡幸第六日
 陛下には驟雨の中を天城山にお登り遊ばされ、山の峯谷間等をお威ひもなく粘菌の御採取と御研究を遊ばされ、八丁池にては森の青蛙の御調査をとげさせらる。往復共に内浦の景色を殊の他めでさせ給ひし由洩れ承る。
六月四日 巡幸最終日
 三島御巡幸の御多忙なる時間をお割き下され、県下少年團員一万五千人の代表たる岳陽少年團員一千三百余人を御親蘭あらせられ、少年武道の天覧をかたじけなふす。
 願いみるに我が沼津市は御用邸所在地として御選定にあづかり、聖上陛下の未だ皇孫殿下にあらせられし御時より今日迠行幸啓あらせらたることしばゝなり。加ふるに當市數度の災厄に際し度毎に御救恤を給ふ。
 今回當市御巡幸に際しは、大正十五年の大火後の復興著しく、産業教育等各方面の發達目覚ましきもののあるを御覧遊ばされ、いとも御模様に拝せらたるもの一心協力以て沼津市發展の為に努力し、聖恩の萬分の一にも報ひ奉らん事を期せざるべからず。










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