人文パイプぶろぐ
2020年6月4日木曜日
郷愁の瓜島(うりじま)
郷愁の瓜島(うりじま)
沼津名所絵ハガキとして全国に売り出された瓜島は、明治二十六年(一八九三)七月島郷(楊原村)の白砂青松、風光明媚な静浦毎岸に沿っての約一五平方㍍の東宮御所(後に沼津御用邸
)
が造営された、これを契機に在京の高位高官が千本浜・牛臥・島郷・志下などに別荘の簇
(
そう)出現象を起こした。
酉郷従道侯もその一人で、志下村持の瓜島を同侯に贈呈したと伝えられ、里人呼んで酉郷島となった。終戦間もない昭和二十二年八月在京の西郷従吾氏は、これを大昭和製紙へ売却、更に同六十年秋、京都府亀岡市にあるヨシオカ観光(株)の所有に移った。瓜島は幸い自然体で残っており、山林五、一三〇平方㍍、宅地二三一、四平方㍍の面積を占める湾内の小島であるが、釣の名所に格好な場所でもある。
(
村上記)
(「沼津史談第
38
号」昭和
62
年
3
月
31
日発行)
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