旧跡巡り沼津散策いかが
遠出の代わりに… 史談会がマップ
「楽しんで歴史知って」
新型コロナウイルスの感染拡大で県境を越えた遠出自粛が求められたのを機に、沼津市の沼津郷土史研究談話会(沼津史談会)が、新たな生活様式に配慮した近場での楽しみ方として、市内の旧跡を巡る"小旅行"を提案している。6月には「沼津まちなか歴史MAP街歩き仕様」を作成。散策した感想などを募集するとともに、「自分が暮らす足元の歴史を見つめ直してほしい」との願いも込めている。
マップはA3判を三つ折りし、3千部印刷した。JR沼津駅から狩野川下流に架かる永代橋までの現在の中心市街地図に、同じ場所にあった沼津城の絵図や旧東海道沼津宿の町割り図、旧跡の所在地などを重ねてある。
2年前に作成した初版に、各種ポイントを60分で歩くコースの順路を紹介した。国内最初の近代小学校とされる「代戯館」や、西洋医学に基つく最先端施設として1869(明治2)年に開設された「沼津病院」など、8カ所を巡る。市内書店と市立図書館の2カ所で無料配布している。
まち歩きを提案した背景には、地元の歴史を知らない市民が増えていることへの危惧(きぐ)がある。同市内は明治以降、城の遺構が徹底的に取り壊された。戦前・戦中に大火や空襲も度重なり、現在は古い街並みの名残をほとんどとどめていない。このため、城下町だったことすら認識していない市民も多いという。
同会は、新型コロナの影響で遠隔地に出掛けるのがはばかられた今春、近場で気軽に楽しめるレジャーとしてまち歩きを勧め、地元への理解や愛着が深まる機会につなげたいと考えたという。同会の匂坂信吾会長(72)は「先人の苦労の積み重ねで豊かな暮らしがあるのに、現在の沼津のまちは過去との結び付きを感じ取りにくい。このままでは地元に誇りを持てず、今さえ良ければという価値観の形成にもつながりかねないと考え、まち歩きを提案した」と話す。
(東部総局・薮崎拓也)
【静新令和2年6月24日(水)夕刊】
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