沼津の誇り 匂坂信吾
明治初年に徳川家・静岡藩が沼津城二の丸御殿を校舎として設置した沼津兵学校や附属小学校、同沼津病院に在籍した人たちの中には、近代日本の基礎づくりに貢献した人物が数多くおりました。
沼津郷土史研究談話会(略称・沼津史談会)は、本年一月に沼津香陵ライオンズクラブ、沼津医師会などと実行委員会を組織して開催した「沼津兵学校創立百五十周年記念式典」で、全国各地からの参加者をはじめ、五百人を超える市民や関係者に、このことを知っていただくことができました。
その後は「沼津ふるさと講座」で、沼津兵学校関係者の子孫をお招きして、親族に伝わる様々な情報を提供いただき、記録に残すこととしました。最初の六月には、江原素六と共に兵学校の経営に当たった藤澤次謙の曾孫、藤澤裕武氏、及び沼津病院医師の桂川甫策の曾孫、桂川靖天氏による談話会を開催しました。
九月二十一日(土)には、午後一時半から市立図書館四階第四講座室で、兵学校英語教授、渡部温の曾孫で日本女子大学名誉教授の片桐芳雄氏(教育学博士)が、生涯外国に行ったことがないものの外国語に堪能で『イソップ物語』の翻訳で知られる曽祖父のことを語ります。ちなみに物語の表紙の絵や挿絵は、渡部温が絵画に秀でていた藤澤次謙に依頼したとのことです。
渡部温が沼津にいたころ、渡部家は仲見世のマルサン書店(市内で唯一、『沼津兵学校記念誌』を販売している)付近に屋敷を構えていました。
二十一日の講座は参加無料で、会員以外の皆様には、資料代として二百円以上の寄付をお願いしています。
また、十月二十六日(土)には、恒例の東京方面へのバス旅行を行います。今まで沼津兵学校関係者の墓地を訪ねて都立青山霊園を.二回、上野の谷中霊園を一回、いわゆる掃苔調査を実施しましたが、今回は谷中霊園と巣鴨の染井霊園を訪れます。
谷中霊園では、藤澤次謙や渡部温の墓地に加えて、沼津兵学校第七期資業生の田口卯吉(政治家、経済雑誌発行者、『日本開化小史』著者)などの墓地を調べます。そして東京大学農学部正門近くの有形登録文化財、田口家住宅を見学します。
その後、巣鴨で昼食をとり、染井霊園では兵学校教授だった杉亨二などの墓地を訪ねます。杉は新政府の初代統計局長となり、日本の統計制度の基礎づくりに努めました。沼津在任中には「駿河国人別調」(人口調査)を実施し、「沼津政表」「原政表」として取りまとめましたが、これが国勢調査の原型になったと考えられます。
バス旅行の参加費は会員以外の方は一人六千五百円です。旅行計画書は、市立図書館一、二階の情報コーナーで講座計画と共に掲載して配置しています。
問い合わせ・申込先=沼津史談会事務所(天野出版工房)電話兼ファックス055-921-1412、または匂坂の携帯電話090・7686・8612。
(沼津史談会会長、小諏訪)
【沼朝令和1年9月18日「言いたいほうだい」】
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