2011年6月7日火曜日

日本考古学大賞


 文化財センター 黒曜石研究の池谷信之さん
 日本考古学協会賞大賞を受賞

 黒曜石の分析で顕著な成果を上げている市文化財センターの池谷信之さん(52)が、五月に開かれた日本考古学協会総会で第1回の協会賞大賞を受賞した。
 同協会では二〇一〇年度、考古学研究の活性化、啓発と普及、人材の育成、社会貢献の増大などを目的に協会賞を制定。大賞、奨励賞、特別賞を設け、その前年(○九年)一年間に刊行された著作を対象にして作品を募集し、このほど審査を行った。
 池谷さんが大賞を受賞した著作は『黒曜石考古学』(新泉社刊)。
 池谷さんは専用の機器を使って黒曜石の分析に取り組み、愛鷹山腹で出土した黒曜石の産地を特定するだけでなく、石が見つかった集落の性格を推論。さらに、「沼津最古の民」が海を渡って黒曜石を手に入れていたとの結論を導き出した。
 また、市内にとどまらず、千葉県の二つの縄文時代の集落をめぐって続いていた論争についても、両集落から出土した黒曜石の産地を明らかにすることによって一つの方向性を見出すなど、研究成果の及ぶ範囲は広い。
 研究のために分析機器を自前で購入したほどの熱の入った取り組みは、今回の受賞対象のほか、『黒潮を渡った黒曜石見高段間遺跡』(平成十七年、新泉社刊)など、自費出版、共著も含めて数多にわたる著作となって現れ、『黒曜石考古学』で博士号(史学)を取得。また、一連の研究と著作が評価され、昨年、県の文化奨励賞を受賞している。
【沼朝平成23年6月7日(火)号】

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