2011年11月17日木曜日

文学者・芹沢光治良生誕115周年


文学者・芹沢光治良生誕115周年
 欧州体験と影響解説 沼津で講演会

 沼津市出身の文学者芹沢光治良の生誕115周年の記念講演会が13日、同市立図書館で開かれた。芹沢文学を研究する神奈川県の高校教諭鈴木吉維氏が講演し、文学者の出発点となった欧州での体験と、後の作品への影響を解説した。
 農商務省を辞した芹沢は1925年に妻とパリに渡った。長女が生まれ、社交界にも出たが、肺結核でスイスなどに移り28年に帰国した。30年に療養時の日記をもとにした「ブルジョア」で文壇デビューを果たした。
 生前の芹沢から聞き取りを続けていた鈴木氏は「経済学を志望して渡仏した芹沢にとって、欧州滞在は文学の道を逡巡(しゅんじゅん)した時期だった」と位置付けた上で、「研究者として長期滞在したことで、庶民と上流階級の貧富の差や男女平等の意識を感受した。日本と異なる仏文学の論理性にも触れるなど、個々の体験が、作品に色濃く反映されている」と述べ、作家としての原点を強調した。
 約170人の来場者からは、作品についての質問が多数挙がった。
(静新平成23年11月16日朝刊)

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