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2018年12月22日土曜日

駿府城に「秀吉の城」跡 最善の整備方針を模索


駿府城に「秀吉の城」跡
最善の整備方針を模索
 「考古学や城、歴史にあまり興味がない人も発掘現場に来るようになった」。静岡市の駿府城発掘調査で、豊臣秀吉が家臣に築かせた城の跡が見つかったと公表されてから約2カ月。同市葵区の駿府城公園にある発掘現場を訪れる人が増えたことを、ガイドする文化財サポーターは喜ぶ。

 
 発掘現場では現在、秀吉と家康がそれぞれ築いた石垣や秀吉の城に使われていた金箔(きんばく)瓦を見学できる。県内外の城跡ファンはもちろん、「大発見があったと聞いて初めて来た」という帝民も多い。市の担当者は「10月後半の来場者は通常の3倍に増え、12月も多い傾向だ」と話す。"大発見"の兆候を、市の発掘作業員が最初に感じたのは2017年秋のこと。「ないはずの場所に石がある」。調査は年度末で一時中断したが、185月に再開すると、徐々に石垣が姿を現した。近くで金箔瓦も次々と発見。「これまでの遺構とは明らかに違う」「秀吉政権下の城か」ー。作業員の間に高揚感が広がった。
 8月には石垣の遺構が全貌を現した。市は急きょ、考古学や土木工学、戦国時代史の専門家計8人に現地調査を依頼。秀吉が家臣に築かせた城の跡だと判定された。
 家康と秀吉の城の遺構が同じ場所で見つかって遺構の価値は高まったが、家康の城の天守台復元を目指す市は難しい判断を迫られている。市民の間で「歴史的価値が高まったからこそ復元すべきだ」「二つの遺構をそのまま展示したほうがいい」と賛否が割れる。
 遺構は一度壊したら元に戻せないだけに、最善の整備とは何か、慎重な検討が必要になる。市は19年度から、出土した石垣の耐久性を調べ、有識者を交えて復元と保存を両立する方法を探る方針だ。
(政治部・内田圭美)
 〈メモ〉静岡市は1016日、秀吉が家臣中村一氏に築かせた城跡を発見したと発表した。秀吉の城の特徴とされる金箔瓦約330点と、家康の天守台の石垣とは異なる特徴の石垣が出土した。家康が秀吉の城を壊した上に駿府城を築いたことも明らかになった。
【静新平成301222()「追跡」】

2018年11月11日日曜日

平成30年11月11日(日)静岡新聞社説「秀吉の城跡発見」


「秀吉の城」跡発見 
埋もれた歴史光当てた
 静岡市の駿府城跡天守台発掘調査で、豊臣秀吉が家臣に築かせた天守の遺構が約330点に及ぶ金箔(きんぱく)瓦と共に見つかった。秀吉が、駿河など5力国を領有していた徳川家康を関東に移封した後、豪華(ごうか)絢爛(けんらん)な城を築いて権威を示したことをうかがわせる発見だ。市は発掘を終える2019年度中に駿府城公園の新たな整備方針を決定する意向だが、今回の成果を十分反映させる必要がある。
 家康のイメージが強い駿府城だが、「秀吉の城」跡発見は埋もれていた歴史に光を当てた。全国的に注目され、発掘現場を訪れる人も急増している。
専門家は秀吉と家康の天守台の遺構が共存する希少性や、さらなる遺構・遺物が下に眠る可能性を指摘する。今後の発掘や公園整備の在り方を見直す良い機会だ。長期的な視点に立った議論を求めたい。
 市は1991年に策定した駿府公園基本計画に、公園内の天守台跡に盛り土して天守台広場を造成する構想を盛り込んだ。駿府城再建を求める市民団体の声が高まったことなどを受け、2014年度策定の第3次総合計画で、天守台の整備に着手するとした。
 今回の発掘は16年度から4年計画で実施している。秀吉没後、幕府を開いた家康が大御所となって1607年から行った駿府城大改修で、秀吉の城の天守台を壊し、ほぼ同じ場所に江戸城を上回る日本一の規模の天守台を築いたとみられることも分かった。
 市の有識者検討委員会は2010年、詳細な資料のない天守閣の復元に否定的見解を示す一方、天守台については明治期の測量図や写真など現存する史料で復元は可能だとした。田辺信宏市長も石垣造りの天守台復元に意欲を見せる。市は新たな整備方針に復元を盛り込む検討をしているが、拙速に結論を出すのは避けるべきだ。
 今回の発見で、5力国時代の家康が築いた城や、今川氏の館跡が下に残っている可能性が高まったと指摘する専門家もいる。復元すれば、その下を発掘するのはほぼ不可能になる。逆に発掘でさらなる新発見があれば、駿府城の価値が一層高まる可能性がある。市の試算によると、石垣造りの天守台復元にかかる費用は60億~100億円。費用対効果も精査したい。
 市のシンボルとなり、観光面の効果も期待できる駿府城再建を望む市民の熱意は理解できる。ただ、既定のスケジュールにこだわって議論をおろそかにすべきではない。発掘は計画通り19年度までで十分か、今回発見した遺構・遺物をどのように生かすかなどをもう一度、多角的に検討してほしい。
【静新平成301111() 社説】