2023年8月2日水曜日

ステラポラリスポスター

 




「スカンジナビア資料館」沼津・オープン

和歌山沖で沈没した元客船・航海日誌など約100点展示

長年海に浮かぶレストランとして親しまれ、昨年九月、沼津市から中国・上海へ向けてえい航中、に和歌山県沖で沈没した元客船「スカンジナビア」をしのぶ小さな"資料館"が同市内に誕生する。場所は半年前まで目の前に船が係留されていた喫茶店の一角。船の建造からちょうど八十年目の二十四日にオープンする。

資料館は同市西浦木負の喫茶店「海のステージ」の事務スペースを改装した。同店オーナーで、船の現地保存を呼び掛けてきた「スカンジナビア号を保存する会」の事務局長前島希久也さん(六七)らが、展示する関連資料を収集した。

展示品は、スカンジナビアが豪華客船「ステラポラリス」として欧州を拠点に世界をめぐっていた時代の資料が中心。現役最後の地中海航海を記した航海日誌、機関制御の部品[エンジンテレグラフ」(マスト灯、救命艇のコンパス、船体の百分の一の模型など計約百点が公開される。

スカンジナビアはスウェーデンで建造され、一九二七年二月に完成した。「戦時中ナチス・ドイッに接収されたが、戦後、客船として再出発。引退後日本に売却され、沼津の海上レストランとして人気を集めた。昨年スウェーデンへ売却が決まり、経由地の上海へ向け航行中、沈没した。こうした数奇な運命もパネルで紹介する。

展示品の中にはスカン一ジナビアに三十年にわたり勤務し、支配人も務めた安楽博忠さん(六七)も=伊豆の国市=が、欧州時代の関係者から手に入れた「資料も多い。安楽さんは「客船が大型化、大衆化する中、時代に逆行するように造られた小さな豪華客船。その歴史的価値を語り継いでいきたい」と話す。

同船が沼津市を離れ、沈んだ後も、かつての係留地を訪れ懐かしむ人の姿は絶えないという。その話し相手にもなっている前島さんは「船がこの地にあったことを忘れてほしくない。ここが思い出を語る場所になれば」と願っている。資料館についての問い合わせは海のステージ〈電055(946)2801〉へ。(静新070223日夕刊)




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