2014年12月13日土曜日

佳境の「ふるさとづくり」匂坂信吾

 佳境の「ふるさとづくり」匂坂信吾

 平成二十五年六月に三年計画で始まった沼津史談会主催の「沼津ふるさとづくり塾」は、既に十七回の講座(一回は史跡探訪旅行会での現地講座)を終え、来年三月には二十回を数えることになります。
 この間、毎回新しい聴講者の方々をお迎えし、延べ一千三百二十六人の皆様の参加をいただくことができました。一回当たり平均では七十八人になります。また、参加者名簿に登録された方は十一月までに四百七十人となりました。
 そして何人かの皆様から、「最近、講座の中身がつながるようになったよ」とか「江戸から昭和までの沼津の歴史が分かるようになった」「だんだん面白くなってきた」といった感想が寄せられるようになってきました。
 現在は市史講座、地域講座の二本立てで運営していますが、沼津市史の近世から近代にかけての歴史の流れが、自然に理解できるようになってきたものと考えられます。
 特に、今年は戦国期から江戸時代の初めにかけての講座が、四月の一回目が平山優氏の「長篠の合戦と沼津ゆかりの大久保兄弟の活躍」で、五月の二回目が久保田富氏の「大久保忠佐と天野康景」で始まった点が理解しやすさにつながったように思います。
 また、明治から昭和にかけての近代の講座では、六月の第三回が荒川章二氏の「戦時下の沼津-海軍工廠と海軍技研など」で、八月の第五回が湯川次義氏の「近代沼津の教育-岳陽少年団の成立と展開」、さらに十月の第七回が寺村泰氏の「沼津繭市場の発展と繊維工場の進出」というように、近代沼津の発展に直接結び付く内容となり、参加者にとって身近で、受け入れやすくなったのではないでしょうか。
 次回開催の十二月二十日()は第九回となりますが、専修大学教授で経済史が専門の永江雅和氏が、特に希望されて「沼津海軍工廠跡地の開拓」というテーマで話されます。
 跡地の開拓を巡る住民同士の紛争を取り上げる企画ですが、この話は第三回の「海軍工廠」とも関連し、第七回の「繭市場や繊維工場誘致」、そして石橋湛山総理大臣の沼津選出の立役者である名取栄一・元沼津市長が進めた金岡、大岡、片浜、静浦の各村と沼津市との合併問題が背景にあります。
 全国各地の軍関係の施設が終戦後、同様な問題を抱えて紛争に至った例は多いようですが、わが沼津でも同じことが起こったわけです。一八〇㌶という、沼津駅の北から金岡にかけての広大な土地(東京ドーム三十八個に相当)が急に海軍の手から離れた中で、食糧難の時代に身につまされるような話が多かったと思われます。
 当日は午後一時三十分から市立図書館四階の視聴覚ホールで講座を開きます。資料代五百円(会員は二百円)が必要です。
 なお、平成二十七年一月十七日()に予定していた樋口雄彦氏の「沼津での文明開花期の諸相」は、講師の都合で中止します。その分は、同年四月十九日()午後二時三十分から、市立図書館四階の視聴覚ホールで、テーマを改め、「箱館戦争と榎本武揚-静岡藩・沼津兵学校との関連を中心に」となります。
 これは現在、明治史料館で開催中の開館三十周年記念特別展「沼津兵学校とその時代」の中で行われる次の歴史講座と連動するものです。
 ▽平成二十七年一月二十四日()講師日浅川・道夫氏(日本大学国際関係学部教授)「幕末維新期の兵制と士官教育-幕府陸軍の遺産と日本陸軍の創設」▽同二月十四日()講師=樋口雄彦氏(国立歴史民俗博物館教授)「沼津兵学校とその時代」いずれも時間は午後一時三十分から四時、会場は明治史料館です。
 また、本会が第十一回「沼津ふるさとづくり塾」として平成二十七年二月二十一日に開催を予定している平山優氏「興国寺城と武田一族」は、同氏が山梨県でも雪深い地域に住んでいるため、今年二月のような大雪になると交通が遮断され、中止となる可能性があります。当日近くの天候によっては、次の問い合わせ先まで連絡をお願いします。
 問い合わせは、沼津史談会の匂坂信吾(電話〇九〇ー七六八六-八六一二)、または根木谷信一(電話〇九〇ー八五四八ー七九〇九)まで。(沼津史談会副会長、小諏訪)

(沼朝平成261213日号)

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