西武百貨店沼津進出問題沼津朝日新聞 昭和31年・32年記事一覧
駅前に西武百貨店 廿七日商連が対策協議
駅前、駿鉄の角へ西武百貨店沼津支店が建設される。地下一階、地上六階、三三七〇・六九一平方米の近代百貨店で、駅前の一偉観となるが東京資本によるこのデパート進出に対して・商店街連盟では、二十七日午後二時から役員会をひらき・対策を講ずると共に、意見書を通産省企業局商務課に堤出する。
地上六階のビル 来年二月から開業
西武百貨店(東京都豊島区池袋二丁目一一八八)では大手町五番地駿鉄角へ、沼津支店の新設を計画し〃西武鉄道、駿豆鉄道ビル〃として清水組によって工事が進められているがこれは鉄筋コンクリーと六階建三、五七〇・六九一平方米(地下一階四二四・一〇四平方米地上六階三、一四六・七平方米)の近代百貨店で、松坂屋静岡支店よりは小さいが、松菱沼津支店の二倍ほどの大きさ。塔屋には、さらにもう一階延べ八階のビルで、衣料、家庭用品、雑貨、食料品、加工修理、卸売などの売場のほか、美容室(三三平方米)食堂(四〇二平方米)が計画され営業開始は三十二年二月末日からと予定されている。
商店街に脅威? 五日までに意見書
松菱につづいて、それよりも更に大きいこの西武百貨店の進出に対して、商店街では生命線を脅かされるものとして強硬に反対する向と、却って商店街の繁栄になるものと、意見はさまざま商店街連盟(会.長大僑親一氏)では、二一十七日午後二時から商工会議所で役員会をひらき、対策について協議、意見書をとりまとめて九月五日までに通産省企業局商務課へ提出することになった。
《沼朝昭和31年8月24日(金)号》
西武百貨に街の聲
廿九日に諮問委員会
本紙既報のとおり、西武百貨店では(駅前駿鉄角に地下一階地上六階、三、五七〇・六九一平方米の沼津支店の建築に着手、来年二月末開業の準備を進めているが、市民間では市の繁栄策として歓迎する者と、商店街は生命線か脅かされると反対する者と、二つの意見か対立している。
これに対し商工会議所では、二十九日午後一時から卸売業者、小売業者、百貨店、消費者各代表、学識経験者、公共団休職員、商議所役員など二十数名で構成する諮問委員会(商業活動調整協議会)をひらき、九月五目までに通産省企業局商業課に意見書を提出する。
生命線を脅かす"
西武デパート沼津進出に対して、今日午後三時から.大手共栄会、仲見世商店街、上土振興会、上本通共栄会、アーケード街大成会、南部商店街、沼津専門店会沼津サービス店会、沼津チエーンストア会の代表者は商工会議所に集つて協議したが、商店街連盟としては生命線を脅すものとして反対を表明、し問委員会にこれを具申すると共に、通産省企楽局商業課に陳惰を行うことになつた。
各代表者の意見ーー。 田村靖雄氏(アーケード街大成会)
沼津の入口は周辺を入れて十五万人だ。静岡や浜松のように周辺人口を加えて三十万もある都市なら影響は少いだろうが、沼津では共倒れになる公算大だ。将来はどうか知らないが、現状では反対だ。
柴田正氏(上土振興会) 駅前に大資本のデパートが出来るということは、商店街にとつて非常な脅威だ。たださえ立地条件のわるい上土の商店街は大打撃になる。多数の地元商店の死活問題として遠慮してもらいたいというのが、大部分の意見だ
加藤俊輔氏(上本通共栄会) 市の発展のためには結構だという人があるかも知れない.また商店としても、立場によつては喜ぶ人があるかも知れない。それぞれ利害の立場に於いて違うと思うが、商店街としては脅威だ。反対せざるを得ないと思う。
杉山猪作氏(沼津サービス店会) 大反対だ。駅前に六階層もの大デパートが出来たら、大手も、上土も、本通りも、木町の商店街も客がここで、食いとめられしてしまい。苦しいやりくりを続けている商店街にとつては大打撃だ。
消費人口は増える だが商店街は大打撃
犬川角太郎氏(仲見世商店街) 狭い見地から賛否をきめるのはいけないと思う。早計にきめず、静岡や浜松の事例をよく調整したい。
大竹新太郎氏(南部商店街) みんなの意見はまだまとまつていない。しかし個人の考えとしては、困るには困るが、防げないではないかと思う。大デパートが田来ることによつて、市は繁栄し、また消資人口もふえると思うが、これがはたして商店街にいい結果になるかどうか、デパートはよくとも、われわれは駄目になるのではないかと心配だ。
山本義重氏(沼津専門店会) 専門店会ではチケツトを.利用して、長期分割収入を行つているが、東京あたりのデパートでも、これと同じ方法で月賦販売をはじめている。大資本のデパートで、同じことをされたらとてもかなわない。
渡辺盛作氏(沼津チエーンストア) 反対もあリ、贅成もある人の利害によっていろいろ違うが、大勢は反対の線だ。
《沼朝昭和31年8月28日(火)》
賛否両意見を提出 "西武百貨の公聴会“
駅前に建築工事をはじめている西武百貨店沼津支店の新設に対して、利害閣係ある事業者及び団体、学識経験者などを以て構成する沼津市商業活動調整協議会は、きのう午後一時から商工会議所会議室で公聴会をひらいたが、東京資本のデパートの進出は商店街を脅かすとして反対するものと時期尚早を論ずるものと、これとは別の見地から、大局的に市の繁栄になるとして賛成するもの場から活発な意見が開陳された。
同協議会では、九月五日までに通産省企業局商務諜に意見書を提出することになっているが、結論に至らないでの、公聴会そのまま発言をまとめて提出することになった。
市の発展になる だが商店街は反対
西武百貨店の新設について意見か求めるため商業活動調整協議会では、各階層から次の二十三氏を委嘱、きのう午後一時から公聴会をひらいた。
◇商業活動調整協議会委員
百貨店代表西川伝九郎(松菱沼津支店長)卸売業者代表岡田吾市(酒類卸商)同増田慶三(魚類卸商)同大橋規一(沼津青果市場専務取締役)小売代表吉邨勇(大手町大栄会々長)同柴田正(上土振興会会長)田村靖雄(アーケード大成会会長)同加藤俊輔(上本通り共栄会会長)
消費者代表大野虎雄(市社会福祉協議会副会長)井関幸子(市連合婦人会会長)稲玉むめ(市赤十字奉仕団長)竹内鉄次郎(県士木建協会東部支部長)
学識経験者西脇仁(商業高校校長)中江斎(工業高校々長)加藤ふじ(女子商業高校々長)地方公共団体職員内藤政次(沼津電話局長)土持留男(市商工観光課長)杉山善四郎(市農林水産課長)
商工会議所杉山猪作(繊維商業部会長)真野民次(金属商業部会長)大沼栄吉(雑貨商業部会長)田中保(食品部会長)森喜世彦(専務理事)
公聴会は自由な立場で束縛なく意見を開陳するためとして、非公開で行われたが、商店街筋は反対、消費者側は賛成、条件論なども出たが結論にいたらなかった。
(沼朝昭和31年8月30日号)
西武反対不可能か 百貨店審査会五月まで見送り
駅煎に建設中の西武デパート'開店をめぐつて地元小売発商の反対と消費者の賛成意見が衝突、営業許司の実際的発言権を持つ百貨店審査会が十六日開かれ、最終的決定がでるものと注目されていたが、中村東京通産局長は、地元商店街連盟と西武側とが折り合わず、正面衝突の状態でいるため遂に審査会を延期、建物が竣工する五月まで双方の歩みよりを期待する態度をみせている。
沼津商店街連盟杉山会長はじめ幹部八名は森商議事務長と同行、十六日東京通産局を訪れ、中村局長と会見、反対陳情を行い、種々懇談したが、百貨店審査会開催を通産大臣に答申する権限を持つ局長は、「建築も現在進行中のことではあるし、絶対的に反対は扱いに困るし、影響についでは今後に待たなければ好結果か悪結果は判断はできず、むしろ地元側としては夜間営業、貸売、外売或いは売場などの制限や、商品の地元製造品や卸品の買い上げなど協定を結んで相携えていったら却って好影響も期待されないか、無論デパート側の地元との不協力的なやり方については注意する」との希望意見を述べている。
これについて近く局長斡旋でデパート側と地元商連との会見が行われるものとみられる。
(沼朝昭和32年1月18日号)
西武百貨店に制限
商連がきょう申入れ
百貨店審議会を無期延期ざせた沼津商店街連盟の西武デパート開店反対運動は、去る十六日通産局に陳情の折、中村通産局長から「絶対反対でなく、何んらかの話し合いで、歩みよってもらいたい」との意向が伝えちれたが、きよう二十五日午前十一時から東京通産局で杉山商連会長ら五名と西武デパート代表五名が初会見を行い、意見の交換を行うことになった。
西武側としては地上五階地下一階を全部デパートとして使用したい気持らしいが、地元商連側としは売り場階数や外売りなどの制限を相当強く申入れるもようである。
(沼朝昭和32年1月25日号)
西武商戦異状あり 商連と話合い.物分れ
沼津駅前に進出、着々と工事を進めている西武デパー(駿豆ビル)の全階営業(地下一階、地上六階)に反対する地元沼津市商店街連盟(会長杉山猪作氏)は二十五日東京通産局長の斡旋により同局で西武側代表と初会見をしたが、「全階は認めぬ」という地元側と“通産局の妥協案に応じられぬ”の西武と双方の主張意見は真向うから対立して物別れとなり、五月上旬竣工する同ビルをめぐり開店の裁断は通産局の原一つとなったが、両者が譲らないところから今後の成り行きが注目されている。
仲裁案は二割削減 双方ともに譲らず
両代表の会議は二十五日午前十一時から通産局で、地元沼津商店街連盟から杉山会長、吉邨、田村副会長、土屋理事と森商議所事務局長、西武側からは堤清二社長、伊藤総務課長以下代表五名が出席し、中村通産局長と地元の世論を調査にきた江下商工課長が立ち会って行われた。
この会見で西武側は全.階営業面積千八十坪の一割百八十坪使用削減で地元の同意を受け付けず、中村局長は二割の二百六坪を削ったらどうかと提案したが“これ以上の譲歩は絶対に出来ない”と断った。
これに対し地元沼津商店街側は百貨店法にふれぬ範糊内で営業(二階で営業場所四百五十坪)するならばよいがそれ以上では許せないと云い張り、双方の主張は大きな開きをみせ、物別れとなってしまった。
この意見の対立をよそに工事は一億二千万円の工費で着々進められ、すでに五階までを完了、残る一階と内外の装飾をするだけとなっているだけに、早期結論が急がれる。
(沼朝昭和32年1月27日号)
0 件のコメント:
コメントを投稿