葛飾北斎
『東海道名所一覧』
横大々判錦絵43・9×58・2㎝文政元年(1818)
手前右下に描かれる江戸から、右上に位置する京都まで、東海道上に存在した53の宿駅を一望の下にする壮大なスケールの鳥瞰図。画中には、街道上に設置された宿駅に限らず、周辺に位置する地名のほか、山川名をはじめ各地に存在する名所や著名な神社仏閣などが仔細に描き込まれており、さながら東海道を往来する人々のための旅ガイド的な要素さえ加味された大作となっている。同様の鳥瞰図としては北斎画に先駆けた鍬形蕙斎(くわがたけいさい)による、日本名所の絵、などが既に存在したが、富士山の存在を大胆にデフォルメし、印象的な日の出とともに画面左上に配置したスケール感のある画面構成は天才・北斎の真骨頂といえる。これを描いた北斎の想像力と画力も凄まじいが、その絵を版木に再現できた彫り師の技もまさに超絶技巧の極致といえるだろう。
すみだ北斎美術館蔵
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