沼津・大平地区プロジェクト始動
地域の石仏で"人集め"
交流拡大、中高年照準
沼津市大平地区の住民が、地域に多く残る石仏に「健康」「歴史」「芸術」といった中高年を引きつけるキーワードを結び付けて人を呼び込む"石仏の里"を構築するプロジェクトを始めた。人口減少が進み停滞ムードが漂う同市に、交流人口を増やすことができるか、住民の取り組みに期待が集まる。
鷲頭山や大平山などが連なる通称「沼津アルプス」と狩野川に囲まれている大平地区。主に江戸時代以降に造られた道祖神や馬頭観音、狩野川の氾濫に苦しんだ農民が立てたと伝わる「道免(どうめん)さん」など243の石仏が残っている。
大平地区連合自治会の的場達雄会長(68)は「大平の歴史は『狩野川との闘い』と言っても過言ではない。開発の波にのみ込まれずに残った石仏は、当時の住民の苦労を物語っている」と話す。
自治会は本年度から市と協力して散策路や案内看板の整備などに取り組んでいる。今後は、沼津アルプスの散策と石仏巡りを組み合わせた歴史ウオーキングや石仏が醸し出す懐かしい風景を題材にした写生大会、写真撮影会なども計画し、中高年が多彩な趣味を楽しめる地域を目指す。
沼津市の人口減少は全国的に見ても著しい。総務省の人口移動報告によると、2012年の転出超過数が1439人と全国自治体で7番目に多かった。2年後には20万人を割り込むとの推計もある。
大平地区もこの10年間で人口の約8%に当たる約350人が減少した。
一方で、長年の懸案だった道路整備や治水対策が進み、住環境は向上している。定住人口を増やすために、まず交流人口の拡大を図る的場会長は「地域の魅力に光を当て、広く発信していきたい」と力を込める。
《静新平成25年2月22日(金)夕刊》
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