唐招提寺旧鴟尾など国宝
金堂飾った"天平の甍"
文化審2件答申
文化審議会は18日、唐招提寺金堂(奈良市)の屋根を飾った"天平の甍(いらか)"として知られる「旧鴟尾(しび)」2個と、華麗な装飾が特徴の「歓喜院聖天堂(かんぎいんしょうでんどう)」(埼玉県熊谷市)の2件を国宝に指定するよう平野博文文部科学相に答申した。
また全長141㍍の階段状の流水施設「牛伏川本流水路」(長野県松本市)など7件を重要文化財に、日光東照宮に向かう街道沿いに発展した栃木県栃木市の嘉右衛門町など5地区を重要伝統的建造物群保存地区にするよう求めた。近く答申通り告示され、建造物分野の重要文化財は計2391件(うち国宝217件)、保存地区は98地区となる。
鴟尾は寺院などの屋根の両端に付けられた装飾。金堂の旧鴟尾の西側のものは形状から金堂が創建された奈良時代後期の製作と推定され、東側のものには鎌倉時代の銘があった。いずれも傷みが激しいため2000~09年の金堂修理の際に取り外され、唐招提寺内で保管。現在は新調した鴟尾を使っている。
江戸時代に民間の寄進で建立された聖天堂は、色漆や金箔(きんぱく)などの極彩色が施され、多彩な彫刻技法が駆使されている。
牛伏川本流水路は、長野県中部にある筑摩山地の治山のため大正時代に造られた。高低差がある地形に合わせ19段の段差がつけられ、技術的価値が高い。嘉右衛門町は瓦ぶきの切り妻屋根など、江戸時代の商家や土蔵の街並みを残している。
(静新平成24年5月19日朝刊)
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